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リユース市場の最新動向から見るビジネスチャンスとは《前編》

環境配慮だけじゃない!
最新動向から見る「リユース」が持つビジネスの可能性
リユース市場の最新動向から見るビジネスチャンスとは-前編-

リユースとは使用済み製品をそのまま再利用することを指します。3R(リデュース、リユース、リサイクル)の中で、リデュース(廃棄物の削減)やリサイクル(資源の再生利用)は広く普及していますが、これらは直接的な収益を生むことが難しい一方で、リユースは製品を回収・再販することで新たなビジネスチャンスを生み出す可能性があります。
近年、環境保全への関心が非常に高まってきており、業界を問わず多くの企業に対して循環型社会の実現に向けた取組みが求められる中で、DNPコアライズへリユースに関するご相談をいただく機会も増えてきました。2024年10月2日~3日には、リユース企業のテクノロジー活用やEC販売等を応援するイベントとして「Reuse×Tech Conference for 2025※1」が開催され、のべ約1,000名に及ぶ多くの来場者が集まりました。リユースは非常に注目を集めている分野であり、今後の展開が期待されています。
本コラムでは、Reuse×Tech Conference for 2025で得られた最新情報とともに、リユース市場の広がりと、環境配慮が主な目的と思われがちなリユースの新たなビジネスチャンスについて、前後編にわたって紹介していきます。

1. リユースにおける国内外の市場動向

出典:リユース経済新聞 「リユース業界の市場規模推計2024」 【単位: 億円】
リユース市場規模の推移と予測

海外市場の大きさ

アメリカのリユース市場は2022年に約1,741億ドル(約25兆円)に達し、2030年には3,093億ドル(約44兆円)に成長すると予測されています※2。景気の先行きに対する不透明感が高まる中で国民の消費意識に変化が現れ、電化製品やアパレル、家具などを主要としたリユース市場が特に伸びてきています。
ヨーロッパでもリユース市場は大きな成長を遂げており、2021年には約750億ユーロ(約12兆円)に達し、2025年には1,200億ユーロ(約19兆円)に成長する※3ことが見込まれています。2023年から2024年にかけて、エコデザイン規則案や包装・廃棄物規則案に関して政治的合意に至り、これらの法的枠組みは今後のリユース促進に大きく寄与すると言えるでしょう。

日本市場の広がり

物価の上昇や消費者の生活防衛意識の高まりにより日本でも徐々にリユースが浸透し始め、さらには訪日需要が追い風となり、2009年以降14年連続で市場規模が拡大しています。リユース業界をけん引する事業者TOP10社においては、10年間で売上高を約3倍にまで伸ばしています。今まではCtoCのフリマアプリやユーズド品売買サイトが主流でしたが、昨今では小売り・流通、ブランド・メーカーなどの一次流通事業者が自らリユースを推進するケースが増えてきました。これに伴ってリユース導入支援を行う専門ベンダーも登場しています。
また、政府の2025年度予算案編成に向けた環境省からの概算要求において、リユースをはじめとする環境関連の予算が11億円と多く割り当てられていることから、国としても持続可能な社会をめざす動きが高まっていることがうかがえます。

2. リユースによるビジネスチャンス

循環経済のイメージ

今後のリユース業界において新たなけん引役となるのは、一次流通事業者と言われています。本項では一次流通事業者を主として、リユース事業がビジネスチャンスとなり得るポイントをご紹介します。

サステナビリティへの貢献

日本では、年間に約51万トンの衣類や約1,445万台の家電製品が廃棄されていますが、リユースを実施することでこれらの廃棄量を削減し、環境への負荷を軽減させることができます。さらに、回収量やCO2削減量を可視化させ、数値情報を開示することにより、環境配慮企業としてのブランディングを強化することも可能です。

一次流通を含めた事業全体の売り上げ向上

一次流通事業者は新品を売りたいという本音がある一方で、セールの常態化により新品の売れ行きが伸び悩み、多くの在庫を抱えてしまっているというのが実態です。また、中古品はCtoCのフリマアプリやユーズド品売買サイトなどで取引されてしまうため、自社ブランドの価値が他社に転じてしまうことや、二次流通に関する情報を取得できないということも課題として挙げられます。
これらの課題に対し、リユース事業として自社で使用済み製品の回収を行うことで新たな顧客接点を生み、休眠顧客にリーチするきっかけを作ることが可能になります。回収時に新商品のレコメンドやクーポン配布を行うことで、新品販売の促進も図れるでしょう。自社ブランドとしてリユース品を販売することで、価格を理由に購入をためらっていた潜在顧客の取り込みにもつながります。

マーケティング戦略への展開

リユース事業によって得られるさまざまな情報を活用することで、マーケティングやブランディングに役立てることができます。中でも、以下に挙げた三つは最も重要なデータと言われています。得られるデータを分析し、ファンに昇格させることができそうな顧客層を見極めることで、より効果的なマーケティングを展開することが期待できるでしょう。

データの活用例

                       
顧客データ顧客に応じた商品レコメンドの実施、ユーザー分布把握による効果的なマーケティング戦略の立案
買い取りデータ 回収率の高い商品の特定、製品のLTV(ライフタイムバリュー)の取得による新製品開発の推進
販売データ販売顧客の行動把握、トレンドに応じた需要予測による在庫管理の最適化

3. 前編のまとめ

リユース市場は国内外で広がりを見せており、業界を問わずさまざまな企業がビジネスチャンスととらえて自社リユースを始める企業が増えてきています。特に一次流通企業においてはリユースを単体ビジネスとして考えるのではなく、うまく取り入れることで一次流通との相乗効果が生まれ、事業全体の売り上げ向上につなげることが可能になるでしょう。
後編では、リユースビジネス参入に向けたステップと今後の予測について解説します。

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