• 公共

某自治体 様 持続可能な行政運営の鍵:
指定難病医療費支給認定業務の効率化とその効果

保健所や区保健センター職員のノンコア事務を
事務センターに集約して、効率的・安定的な運営を実現
業務効率化のイメージ画像

某自治体 様

某自治体様では、地域保健の広域的、専門的かつ技術的な拠点として保健所を設置し、地域の健康を支える多様な取組みを展開されています。
具体的には、健康危機管理体制の確保、生涯を通じた健康づくり、感染症対策(新型コロナウイルス、結核、エイズ等)、難病対策、精神保健福祉対策、そして成人・老人・母子保健対策など、多岐にわたる重要な施策を推進されています。

近年、多くの自治体では行政職員数の減少により、一人ひとりの事務負担が増加し続けています。また、人口減少や少子高齢化に伴い、多様化・増大する住民ニーズへの対応や社会インフラの維持も求められています。このように、限られた行政経営資源のなかで持続可能かつ質の高い公共サービスを提供することが、自治体にとって喫緊の課題となっています。
(出典:総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画【第 4.0 版】」)

このような背景のなかで、住民の健康を支える地域拠点として、ますます重要な役割が求められる保健所や区役所・保健センター(以降、保健所等)においては、人員不足や作業効率化の遅れが課題とされています。特に指定難病医療費の支給認定などの業務は、更新申請時期に作業が集中し職員の業務負荷が大きくなるという事情があります。

業務量のイメージ

指定難病医療費の支給認定業務について

指定難病の医療費助成を希望する受診者から、難病指定医が作成した臨床調査個人票(診断書)と世帯の所得を確認できる書類などを合わせて、都道府県・指定都市の窓口で申請を受け付け、一定の認定基準を満たす方に特定医療費(指定難病)受給者証を交付します。有効期限は通常1年とされているため、毎年、継続する受診者の更新手続きがあります。

本取組みについて

実施内容

当社は、保健所における職員の負担軽減と、本来業務に集中できる体制を構築するため、BPO(業務委託)の設計知識とBPR(業務改革)の手法を用いて課題解決の支援を行いました。

今回の業務分析では、分散した作業を集約し、一括処理できる新たな業務モデルを設計しました。この業務モデルの導入により、従来より少ない人員での運営が可能になることが明らかになり、職員の負担軽減と本来業務への注力につながる効果が見込まれます。

これらの分析結果が、某自治体様で分散した業務を一括して行う事務センターの設立を具体的に検討するきっかけとなりました。

支援内容

某自治体様が抱える課題

本取組みにおいて可視化した課題について、一例をご紹介します。

管理職員が抱える課題

戦略的資源配分と業務効率化

限られた経営資源を有効活用し、業務の集約や外部委託を通じて、保健所間の負担差を解消させる必要がある。

業務負荷の増加と窓口業務の集中

業務負担が増加するなかで、問合せや窓口の対応が集中する時期には、職員のストレスが高まり、メンタルヘルスへの影響が懸念される。

事務職員が抱える課題

業務負荷の集中

指定難病医療費支給認定業務を分析した結果、ノンコア作業が約9割(※1)を占めていて、その多くの作業を正規職員が担っていた。長時間勤務の増加、休暇の取得困難の原因につながっている。

作業品質の維持

短期雇用者や派遣社員に依頼する業務について、品質にムラがあり、全件確認を行う必要がある。

  • ※1:
    正規職員でなくてもできる作業について、DNPコアライズで調査した結果です。

専門職員(保健師)が抱える課題

相談業務への影響

事務作業に手を取られ、本来の相談業務(難病相談事業等)に注力できない。

専門性の活用

限られた人員のなかで、住民サービスの向上に向けた専門性を活かすためのリソース配分が課題。

課題に対する解決策と効果

可視化した課題について、解決策を検討し、某自治体様へご提案した一例をご紹介します。

事務センターの設立

郵送受付先の集約化

これまでは郵送申請の場合も保健所等の出先機関ごとに受け付けていたが、事務センターでの受付に集約し、業務の一元化を図る。保健所等は、難病相談事業等の本来業務に集中できるようになり、住民サービスの向上につながる。

正規職員の配置最適化

事務を担当する職員を事務センターに集めることで、複数人でチーム制を組むことが可能となり、定期異動に伴う業務の分断を防止し、休憩・休暇を交代で取得できるなど、職員の負担軽減につながる。

ノンコア事務を民間へ外部委託する

業務時間の削減

正規職員の業務時間を最大7割削減できる可能性がある(※2)。これにより、職員はより専門的な業務にリソースを割くことができる。

ICT施策の活用

申請書類のAI-OCR処理や生成AIによるFAQ作成、リモート窓口(※3)などのICT施策を利活用することができ、業務効率が向上する。

運用ノウハウの継承

制度や運用変更時には、事務手順書修正やイレギュラーケースの対応記録などの文書化を委託することで、常時、最新の手順が自治体にも引き継がれ、安定的な運用が維持される。

  • ※2:
    作業平準化とコア・ノンコアの業務再定義、作業担い手の変更について、DNPコアライズで検討した結果を記載した。
  • ※3:
    これまでは、問合せ対応は保健所等の窓口で行われていた。リモート窓口では、来所者と事務センターの担当者がカメラ付きパソコン上で会話する。

今後の展望

DNPコアライズは、官公庁や民間企業での豊富なアウトソーシング実績にもとづき、業務プロセスを徹底的に分析し、効率的かつ効果的な形に再設計することで、業務の最適化を支援します。
自治体における人員不足がますます深刻化していくなか、職員がコア業務に集中できる環境を整え、市民サービスの向上に注力できるようDNPコアライズは今後も支援していきます。

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