1カ月で難病助成事務センターを構築
~県と事業者の協働で乗り越えた、難病助成事務の安全な移管~
千葉県 健康福祉部 疾病対策課 様
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感染症の発生予防やまん延防止、難病対策の推進、臓器移植などの普及啓発など、県民の健康と生命を守るための重要な施策を多岐にわたり推進されています。
その中で、今回のインタビューにご対応いただいた「難病助成運営班」は、指定難病および小児慢性特定疾病などに関する、医療費助成制度の円滑な運営と実施に尽力されています。
実施概要
令和7年度、千葉県が2つの保健所を対象に先行スタートさせた「難病助成事務センター(以下センターと称する)」。受給者証更新のピークに合わせ、わずか1カ月という極めて短期間での立ち上げが求められるなか、県と事業者(DNP)はどのように力を合わせ、安全な事務移管を成し遂げたのでしょうか。
本記事は前編・後編の2部構成でお届けします。
前編となる今回は、センターの構築・運営をけん引する千葉県健康福祉部疾病対策課の皆様※に、新型コロナウイルス感染症流行下の教訓から生まれた「保健所機能強化」への熱い思いと、現場の実態に寄り添いながら進めた業務再構築の軌跡をお伺いしました。
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※県職員のご所属は2026年3月時点。
この記事はこんな自治体職員様におすすめ
・出先機関との煩雑なやり取りや日々の問合わせ対応に追われ、業務改善に手が回っていない担当者様
・業務の外部委託(BPO)を検討しているが、単なる「コスト削減」だけでは庁内の予算獲得や説得が難しいと感じている管理職の皆様
・業務委託に伴う「進行・状況が見えなくなる不安」を解消し、安全・確実な運用体制を築きたい担当者様
千葉県健康福祉部疾病対策課様 インタビュー
1. コロナ禍の教訓。「本来の支援」を取り戻すための事務の集約
今回のセンター集約化は、単純なコスト削減ではなく、「保健所の健康危機管理体制の強化」を見据えたものだと伺っています。現場である各保健所からは、どのような期待を受けていらっしゃいましたか?
新型コロナウイルス感染症流行下、保健所は感染症対応を最優先にしながら、難病などの更新事務(窓口での受付や形式審査など)に対応した結果、本来行うべき療養患者様への訪問支援などが停滞してしまう事態に直面しました。「保健師などの専門職がその専門性を最大限に発揮できるよう、事務作業を集約・効率化してほしい」という切実な声が現場から上がっていました。それが今回の取組みの出発点でした。
2. わずか1カ月の立ち上げ。想定外を乗り越えた「スモールスタート」と「現場での伴走」
3月末の事業者選定から4月末の稼働まで、わずか1カ月での構築となりました。非常に厳しいスケジュールでしたが、DNPの初動や対応はいかがでしたか。
インフラ整備も運用準備も非常に迅速に対応いただいたと感じています。時間もなく、実動レベルの詳細な整理まではしきれない中でスタートしたため、県で調達した電話交換機(PBX)など、ネットワーク構築に関して想定外の事態も発生しましたが、本番運用をしながら検証・調整していきました。
また、今回は県内に15ある保健所のうち、2つの保健所の業務をセンターに集約するというスモールスタートの手法を選択しました。対象を絞ることで、統合のための判断基準を固めやすく、例外的な処理が発生しても吸収しやすかった点は非常に大きかったと思います。
3.「見えない不安」を解消する二次元コード管理
外部へ業務を委託する際、進行が見えなくなる「ブラックボックス化」が懸念されます。今回のセンター運営では、この懸念はありますでしょうか。
今回、「各申請書に二次元コードを貼付するステータス管理」をDNPさんから提案され、導入しています。県とDNPさんの間で日々書類が行き来するなか、1件1件のステータスをしっかり管理していただいており、ブラックボックス化が起こらず、大変助かっています。
県民の方から自分の申請はどのような状況かと問合わせがあった際にも、迅速・正確に状況を把握し、回答することができています。
県の台帳システム上では途中経過がわかりにくい部分もあったのですが、二次元コードを用い、細かな進行管理を行ったおかげで、全体として、効率化や安定化につながりました。
4. 単純なデザイン変更にとどまらない案内文の最適化
センターでは、県民の皆様からの問合わせ内容をデータ化し、案内文の修正などに活かすサイクルも回していますね。
はい。制度を熟知している私たちには気づけない「県民の方が迷うポイント」をDNPのユニバーサルデザインコーディネーター※の方々が洗い出しており、現在、更新案内のユニバーサルデザイン化(UD化)に反映しています。
これまでは、県民の方から問合わせがある度に更新案内に説明文を足すなどしており、かえって難しくてわかりにくい案内になっていた部分がありました。それを整理してデザインへの反映を進めていただいているため、今後はより簡潔でわかりやすい更新案内になると期待しています。
これは単純なデザイン変更ではなく、「県民の方とのコミュニケーションの最適化」を図る作業だと考えています。実運用と有機的につなげて進めていただいていると高く評価しています。
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※ユニバーサルデザインコーディネーター:専門知識を用いてユニバーサルデザインを実現する専門家。
詳細はこちら→ https://www.dnp.co.jp/biz/products/detail/20172748_4986.html
5. 今後の展望:独自ルールの標準化から、次なるDXのステージへ
立ち上げの混乱期を乗り越え、現在どのような手応えを感じていらっしゃいますか。また、今後の展望をお聞かせください。
実際に現場からは、「患者様への訪問支援の対象を広げることができるようになった」「施策を集中して考える時間が取れるようになった」という声が聞こえてきています。一方で、新たな課題も見えてきました。これまでは保健所の窓口で直接、患者様のご様子などの「生きた情報」を把握できていましたが、今は申請書類が一度センターに集約されます。そのため、保健所が患者様の最新状況(医師の作成書類など)を把握するまでにどうしてもタイムラグが生じてしまうのです。現場の保健師がより早く、適切な支援に動けるようにするためにも、センターに集約された情報をいかに早くデータ化し、保健所へリアルタイムに共有していくかが今後の課題です。
複数の保健所の業務を統合し、各保健所の独自ルールを標準化できたことは非常に大きな意味があると思っています。将来的に紙の申請から脱却し、ICT化・DX化を進めていくためのベースとなる業務整理のスタート地点に立てたということだとも感じています。
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※当記事は、2026年3月時点の情報です
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