生成AIチャットボットで実現したナレッジ活用の第一歩
三条市 様
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新潟県三条市は「三条市デジタル田園都市構想総合戦略」を策定し、行政が所掌する幅広い領域の政策、施策を総合的、効果的に推進していく取組みを進めています。
DNPコアライズと新潟県三条市は、令和6年7月31日(水)に「地域活性化起業人に関する協定※1」を締結しました。 DNPコアライズは、本協定に基づき、初の取組みとして8月1日(木)から三条市へ技術支援出向を実施しています。
今回、当社のパートナー企業である株式会社Kaizen Platform※2との協業により提供するナレッジ構築支援サービスを用いて、三条市様に対し、問合わせ対応業務の標準化を目的としたPoC(Proof of Concept:実証実験)を実施しました。
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※1地域活性化起業人とは、三大都市圏に所在する企業と地方圏の地方自治体が、協定書に基づき、社員を地方自治体に一定期間(6カ月から3年)派遣し、地方自治体が取り組む地域課題に対し、社員の専門的なノウハウや知見を活かしながら即戦力人材として業務に従事することで、地域活性化を図る取組みです。
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※2株式会社Kaizen Platform:企業のDX推進を支援するプラットフォームとサービスを提供する企業
本取組みについて
背景
三条市様では、移住に関する問合わせ対応業務において制度内容が複雑であるため、職員の制度理解にばらつきが見られ、属人化していることが課題となっていました。この属人化を解消し、迅速かつ正確な情報提供を実現する施策として、ナレッジ構築支援サービスが有効であるかを検証することになりました。
PoCの目的
本PoCでは、生成AIを活用したFAQリストの作成と、RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術を組み込んだチャットボット「CC(コールセンター)支援AIシステム」の実用性を評価し、実際の業務における有効性を確認することを目的としました。
実施内容
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step生成AIを活用したFAQリストの作成三条市様にご提供いただいた、5種類の移住補助金制度に関する要綱ドキュメントを対象に、生成AIを活用してFAQリストの生成を行いました。これにより、網羅的かつ効率的なFAQ作成を目指しました。
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stepCC支援AIシステムの構築Step01で生成されたFAQリストと、移住補助金制度に関する要綱ドキュメント5種類を、RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術を用いて連携させ、チャットボット「CC支援AIシステム」を構築しました。これにより、三条市職員の皆様が移住補助金制度に関する質問を入力するだけで、関連性の高い情報および回答を迅速に取得できる環境の実現を目指しました。

実施結果
生成AIを活用したFAQリストの作成
生成AIによって作成されたFAQリストについて、三条市様にご評価いただいた結果、全体の85%以上がそのまま業務で活用可能と判断され、高い精度が確認されました。また、要綱内に記載されている情報に基づいてFAQを作成するという観点において、不足はないとの高評価をいただきました。 これらの結果から、人手によるFAQ作成と比較して大幅な業務負荷軽減と効率化が見込まれるとともに、これまで職員によってばらつきがあった回答内容の安定化が図られ、業務の標準化に貢献できると考えられます。
CC支援AIシステムの構築
構築したCC支援AIシステムについて、三条市様職員の皆様にご協力いただき、ユーザー満足度調査を実施しました。応答速度については改善点が見られるものの、応答内容、操作性、実用性においてはいずれも4.8/5.0点という高評価をいただきました。また、機能検証においては、誤回答は確認されませんでした。 これらの結果から、現時点では十分な機能性を備えていると判断でき、実際の業務にも適応可能であると考えられます。
今後の展望
今回のPoCを通じて、ナレッジ構築支援サービスが、三条市様の問合わせ対応業務の属人化を解消する施策として有効であることが確認できました。この結果を踏まえ、本取組みの対象業務を拡大していくことで、業務の標準化がより促進され、問合わせ対応時間の削減と回答品質の安定化が実現し、三条市民の皆様のサービス満足度向上に大きく貢献できることが期待されます。
DNPコアライズは、「属人化からの脱却」という労働人口減少に伴う業務継続リスクや、ノウハウ消失といった社会課題を解決し、持続可能な業務基盤の実現を目指します。
この事例で提供したサービス
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